【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】スライドストップがかからない【分解/修理】
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★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】スライド分解【分解】
★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】フレーム分解【分解】
★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
そこそこ古いモデルである東京マルイのM92Fミリタリーモデルですが、未だにラインナップに上がっており、人気のモデルとなっているようです。
ですが永らく人気機種の座をキープしてきたこのモデルも、中にはそろそろ動作不良を起こしつつある個体をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
今回のクランケも、そんなM92Fのひとつになります。
症状は「全弾撃ち終わった後にスライドストップがかからない」です。
ガスブロ銃のトラブルとしては割と多い故障なんじゃないかと勝手に思っています。
可能性としては、単純にスライドストップのレバーや受けの部分が破損している場合もあるとは思いますが、このクランケに関してはその辺りは大丈夫でした。
この個体のスライドストップがかからない原因はおそらく2つ。
早速見ていきましょう。
おっと、その前に…スライドの分解手順はこちら↓
【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】スライド分解【分解】
その1つがこれです。
シリンダリターンスプリング。
これを現状品から、純正新品パーツに交換します。
現状品は、実はM92F用の純正パーツではなく、また社外製のカスタムパーツでもなく、なんとノック式ボールペンの内部に使われているスプリングだそうですΣ(゚Д゚)
オーナーの話では、諸般の事情により安ボールペンから取り出し、自由長を合わせてカットして入れたそうです。
ある意味、チカラ技カスタムと言えなくもない(笑)
話を戻して、このボールペンスプリング、純正スプリングと比較した感じでは、巻き数が多く線径も太く、ピッチも狭いので、純正品と比べて相当硬そうな感じがします。
ここを柔らかい純正品に戻すことで、ピストンに送るガス量を増やすことができ、スライドを後退させる力が増すことになります。
射撃の瞬間、スライドの後退が始まっても、シリンダーがより長い時間(と言っても一瞬ですが)マガジン上部(ガスルート上)の位置にとどまることができるからです。
次にコレ。
ピストンカップが経年劣化で硬くなり、更に傷が入って隙間ができていました。
これではせっかくのガス圧が逃げてしまいます。
このピストンカップを純正新品に交換します。
これで、増えたガス量を余すところなく受け切り、スライドを後退させる力を強めることができます。
つまるところ、この個体の「スライドストップがかからない」という症状は、
シリンダー内へのガス供給量不足と、ピストンのガス漏れとのダブルパンチによるスライド後退量不足
が原因ということでしょう。
ついでと言っては何ですが、おまけにもうちょっと部品を交換します。
シリンダーバルブスプリングを純正新品に。
やはりこちらも経年劣化(使用による劣化?)のせいか若干の縮みが見られます。
このシリンダーバルブスプリングを交換することにより、初速の向上を図ります。
理屈的な話はガスブロ89式の記事で書いていたかと思うんですが、ガスブロ銃はマガジンに充填されたガスを、一度の吐出(ワントリガー)で「発射」と「ブローバック」の両方に使っています。
マルイのガスブロは、マガジンから放出されたガスが、まず発射方向へと流れ、一定量のガスが発射側へ流れた後、切り替えバルブ(シリンダーバルブ)がガスの流れをブローバック方向へと切り替えます。
切り替えバルブ(シリンダーバルブ)は、マガジンから放出されたガスを先に発射側へ流すために、常にスプリングでテンションをかけ、発射方向へ流路を開いた状態になっています。
そのスプリングがシリンダーバルブスプリングです。
このスプリングが硬すぎて、バルブにテンションがかかりすぎると、バルブがなかなか切り替わらず、マガジンから放出されたガスの多くを発射側へ送り込むことになり、ブローバックの側へ送られるガス量が少なくなって、ブローバックの作動性は悪くなります。
また逆にこのスプリングが柔らかすぎると、ブローバックは鋭くなりますが、発射側へのガス量は減るので、初速は下がる方向に影響が出ます。
このシリンダーバルブスプリングを新品に交換して、バルブの切り替えタイミングを適正値に戻します。
シリンダー奥の穴に…
スプリングとバルブを入れ込み、
最後にシリンダーバルブストッパーを入れ込み、シリンダーと穴を合わせて、プラスネジM1.4×3で締め込みます。
受けが樹脂なので、締め込み過ぎに注意です。
最後に消耗品であるホップアップチャンバーパッキンを新品に交換します。
見比べるとどちらが新品か分かりません。
実際、この写真のどちらが新品か忘れてしまったので、形状だけでは見分けがつきません
経年や使用歴による形状の変化は少ないようです。
ですが、触ってみると若干現状品の方が硬い気がしました。
ここは交換するのが吉でしょう。
最後に、バレルケースにインナーバレル を組んだ時、インナーバレルが少しカタつくのが気になりました。
ハンドガンにそこまでの精密射撃を要求することはあまりないかもしれませんが、一応この対策をしておきます。
インナーバレルとバレルケースが重なる部分にアルミテープを貼ります。
外周寸より若干短めにして、アルミテープの端同士が重ならないように貼り付けるようにします。
ここは個体差があるかもなので、現物合わせで、貼る枚数を決めれば良いかと思います。
この個体は2枚貼り付けたら、カタつきが治まりました。
これで、多少はグルーピングが良くなったことでしょう。
さて、色々とやりましたが、実質スライドストップの修理という意味では、最初の2ヶ所、
① シリンダリターンスプリングの交換
② ピストンカップの交換
で完了と言えると思います。
あとのパーツ交換などはスライドストップの機能不全には大きく影響はしていないと思います。
エアガンのトラブルって色々あると思いますが、修理の際の可能性のひとつとして参考にしてもらえれば、ということでこの記事を書いてみました。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】スライド分解【分解】
★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】フレーム分解【分解】
★【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
そこそこ古いモデルである東京マルイのM92Fミリタリーモデルですが、未だにラインナップに上がっており、人気のモデルとなっているようです。
ですが永らく人気機種の座をキープしてきたこのモデルも、中にはそろそろ動作不良を起こしつつある個体をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
今回のクランケも、そんなM92Fのひとつになります。
症状は「全弾撃ち終わった後にスライドストップがかからない」です。
ガスブロ銃のトラブルとしては割と多い故障なんじゃないかと勝手に思っています。
可能性としては、単純にスライドストップのレバーや受けの部分が破損している場合もあるとは思いますが、このクランケに関してはその辺りは大丈夫でした。
この個体のスライドストップがかからない原因はおそらく2つ。
早速見ていきましょう。
おっと、その前に…スライドの分解手順はこちら↓
【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】スライド分解【分解】
その1つがこれです。
シリンダリターンスプリング。
これを現状品から、純正新品パーツに交換します。
現状品は、実はM92F用の純正パーツではなく、また社外製のカスタムパーツでもなく、なんとノック式ボールペンの内部に使われているスプリングだそうですΣ(゚Д゚)
オーナーの話では、諸般の事情により安ボールペンから取り出し、自由長を合わせてカットして入れたそうです。
ある意味、チカラ技カスタムと言えなくもない(笑)
話を戻して、このボールペンスプリング、純正スプリングと比較した感じでは、巻き数が多く線径も太く、ピッチも狭いので、純正品と比べて相当硬そうな感じがします。
ここを柔らかい純正品に戻すことで、ピストンに送るガス量を増やすことができ、スライドを後退させる力が増すことになります。
射撃の瞬間、スライドの後退が始まっても、シリンダーがより長い時間(と言っても一瞬ですが)マガジン上部(ガスルート上)の位置にとどまることができるからです。
次にコレ。
ピストンカップが経年劣化で硬くなり、更に傷が入って隙間ができていました。
これではせっかくのガス圧が逃げてしまいます。
このピストンカップを純正新品に交換します。
これで、増えたガス量を余すところなく受け切り、スライドを後退させる力を強めることができます。
つまるところ、この個体の「スライドストップがかからない」という症状は、
シリンダー内へのガス供給量不足と、ピストンのガス漏れとのダブルパンチによるスライド後退量不足
が原因ということでしょう。
ついでと言っては何ですが、おまけにもうちょっと部品を交換します。
シリンダーバルブスプリングを純正新品に。
やはりこちらも経年劣化(使用による劣化?)のせいか若干の縮みが見られます。
このシリンダーバルブスプリングを交換することにより、初速の向上を図ります。
理屈的な話はガスブロ89式の記事で書いていたかと思うんですが、ガスブロ銃はマガジンに充填されたガスを、一度の吐出(ワントリガー)で「発射」と「ブローバック」の両方に使っています。
マルイのガスブロは、マガジンから放出されたガスが、まず発射方向へと流れ、一定量のガスが発射側へ流れた後、切り替えバルブ(シリンダーバルブ)がガスの流れをブローバック方向へと切り替えます。
切り替えバルブ(シリンダーバルブ)は、マガジンから放出されたガスを先に発射側へ流すために、常にスプリングでテンションをかけ、発射方向へ流路を開いた状態になっています。
そのスプリングがシリンダーバルブスプリングです。
このスプリングが硬すぎて、バルブにテンションがかかりすぎると、バルブがなかなか切り替わらず、マガジンから放出されたガスの多くを発射側へ送り込むことになり、ブローバックの側へ送られるガス量が少なくなって、ブローバックの作動性は悪くなります。
また逆にこのスプリングが柔らかすぎると、ブローバックは鋭くなりますが、発射側へのガス量は減るので、初速は下がる方向に影響が出ます。
このシリンダーバルブスプリングを新品に交換して、バルブの切り替えタイミングを適正値に戻します。
シリンダー奥の穴に…
スプリングとバルブを入れ込み、
最後にシリンダーバルブストッパーを入れ込み、シリンダーと穴を合わせて、プラスネジM1.4×3で締め込みます。
受けが樹脂なので、締め込み過ぎに注意です。
最後に消耗品であるホップアップチャンバーパッキンを新品に交換します。
見比べるとどちらが新品か分かりません。
実際、この写真のどちらが新品か忘れてしまったので、形状だけでは見分けがつきません
経年や使用歴による形状の変化は少ないようです。
ですが、触ってみると若干現状品の方が硬い気がしました。
ここは交換するのが吉でしょう。
最後に、バレルケースにインナーバレル を組んだ時、インナーバレルが少しカタつくのが気になりました。
ハンドガンにそこまでの精密射撃を要求することはあまりないかもしれませんが、一応この対策をしておきます。
インナーバレルとバレルケースが重なる部分にアルミテープを貼ります。
外周寸より若干短めにして、アルミテープの端同士が重ならないように貼り付けるようにします。
ここは個体差があるかもなので、現物合わせで、貼る枚数を決めれば良いかと思います。
この個体は2枚貼り付けたら、カタつきが治まりました。
これで、多少はグルーピングが良くなったことでしょう。
さて、色々とやりましたが、実質スライドストップの修理という意味では、最初の2ヶ所、
① シリンダリターンスプリングの交換
② ピストンカップの交換
で完了と言えると思います。
あとのパーツ交換などはスライドストップの機能不全には大きく影響はしていないと思います。
エアガンのトラブルって色々あると思いますが、修理の際の可能性のひとつとして参考にしてもらえれば、ということでこの記事を書いてみました。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
スライドストップがおかしくなり、分解してみたところ、バネが反対に入ってるところまでは、突き止めたのですが、正解の位置が解らず、困っていました。途中、マガジンキャッチボタンまではずれ、これがまたはまらない。
たちごけ分隊様のていねいな説明、画像、まさに地獄に仏でした。
おかげさまで、完全に正常に戻りました。
本当にありがとうございました。
このようなチンケなブログでも、多少のお役に立てたならうれしい限りです。
今後とも、ニッチなカテゴリーで細々と書かせていただこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします<(_ _)>