【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】

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昨今、コロナ、コロナでゲーム自粛状況の中、昨年11月から半年以上経過しての投稿になります。

自分が自身のブログチェックを疎かにしている間にも、以前にも増して沢山の方が当ブログを見て下さっているのに今更ながら気づき、感謝しかありません。


さて半年ぶりのお題は

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】

【マルイ ベレッタM92F・ミリタリーモデル】

という、固定ホップ式のガスブロ銃の修理になります。

サバゲ―仲間の銃になりますが、’99年10月発売だそうで、モデルとしては相当古いものになります。


さて症状はというと、以下の2点。

①カラ撃ちでトリガーを引いても、2回目以降ダブルアクションにならない(ハンマーが起きない)

②スライドストップが掛からない(給弾、発射はできる)。

です。

まず当該故障の再現をしてみます。

マガジンにガスと弾を入れて、初速測定。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】

気温(室温)約22℃、マガジンの表面温度が23.5℃。

スライドを引いて初弾を装填し、試射。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】

初速は平均でだいたい68.5m/secくらい。

普通に撃てます。

ただ、やっぱり、スライドストップはかかりませんでした(上記②の症状)。

今度はガス(マガジン)抜いて空撃ち。

初回はトリガーを引けばダブルアクションでハンマーが起きてきます。

トリガーを最後まで引き切ると、カチンッとハンマーが落ちますが、トリガーを戻して再度引いてみると、セーフティを掛けた時みたいに、スカッと抵抗感なく引き切れてしまいます。

これやな(上記①の症状)。





本件の記事を書いていると思いの他長くなってしまったので、この記事では①の「ダブルアクションで撃てない」について書いていこうと思います。

これは何か定番のトラブルのようで、ネットや自分の周囲で割と話題になってるようです。

おそらく原因はシャーシ側。

スライド後端にあるセーフティレバーの内部構造が悪さをしている可能性も無くはないですが、十中八九トリガーとの連動がどこかで切れているような気がします。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
スライドを外し、指でハンマーを起こしてトリガーを引くとハンマーは落ちます。

ですが、ハンマーが落ちた状態のままトリガーを引いても、ハンマーは起きず、トリガープルも超軽くスカッと空振りします。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
トリガーを戻し、ハンマーが落ちた状態で、極わずかにハンマーを起こす方向に力を加えてみると、「カチッ」という、パーツ同士が噛み合う音がして、その後はトリガーを引くとハンマーが起き、1回だけダブルアクションで動作します。

ハンマーが落ちた後は再度先ほどと同じ症状に戻ります。

ということはつまり、ハンマーユニット内部で何らかの部品とハンマーがかみ合わず、ハンマーが起きなくなっているということになります。


ということで早速分解、シャーシを左右に分割するところまですっ飛ばします。

ここまでの分解はそんなに難しくはありません。

まずはハンマー周辺の動きから見ていきましょう。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
各パーツの名称は↑のとおり。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
①ハンマーが落ちた状態で、トリガーも触っていない状態がコレ↑。

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トリガーバーの後端(赤▲)がハンマーの後端(青▲)に引っかかっています。

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②トリガーを引くにしたがって、トリガーバーを介してハンマーが起きていきます。

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③トリガーを最後まで引き切ると、トリガーバーとハンマーの連結が外れ、

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④スプリングの力でハンマーが元の位置に戻り、

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
⑤続いて、トリガーから指を離すことによってトリガーバーも後退して元の位置に戻り、トリガーバー後端がハンマーに引っかかって、次のダブルアクションに備えます。


こんな感じでダブルアクションの工程を分解してみていけば、今回の問題点が見えたような気がします。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
つまり、上記⑤の過程でトリガーを戻した時、トリガーバーの後端(赤▲)が戻り切らず、ハンマーのギザギザ後端と引っかかることができない状態だったので、2回目以降のトリガーの動きにハンマーの動きが追随しなかった、ということでしょう。

さて、ではなぜこの赤▲青▲が引っかからなくなったのか、ですが、よく分かりません。

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
可能性としては、上↑の赤マルに囲まれた、ハンマーとシャーシの接触位置。

ここの変形・摩耗でハンマー戻り時の回転量が微妙に増えてしまった、

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
もしくは、トリガーバー(上図の赤い線)の湾曲変形(↑は分かりやすく極端に描いています)によって、トリガーバーのトリガー端とハンマー端との距離(上図の青い矢印)が短くなってしまったか。

上記ハンマー変形の対応策としては、

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戻り過ぎるハンマーのギザギザ後端(赤線)の面を、トリガーバーの後端が掛かるようになるまで削る。

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もしくは、トリガーバーの後端を、ハンマーに掛かるようになるまで削る、またはその両方を少しづつ削る。

という方法くらいしか思いつきません。

ですがこの方法だと、もし失敗して削り過ぎたりすれば動作不良を招きかねず、、また強度低下によるパーツの破損等が起こる可能性が高まります。

続いて上記トリガーバー変形の解決方法としては、

【M92Fミリタリーモデル/ガスブロ】ダブルアクションで撃てない【分解/修理】
こちらもチカラ技にはなりますが、プラスチックハンマーでコンコンやって湾曲したトリガーバーをまっすぐに伸ばす。

この方法の方が、削るよりかは失敗してもリカバーできそうな気がします。

自分は今回はこちらの方法を採用しました。

と言っても、目で見てパッと分かるほどの湾曲でもないので、「軽く数回コンコンとやりながら、組み付けて様子を見る」を数回繰り返し、ようやく機能回復を果たせました。

ガスブロ銃は動作やパーツ構成が絶妙なバランスでできているそうなので、どんなことが動作不良につながるか分かりません。

ですから、あまりこういうチカラ技は修理の方法論としては理想的ではないのかもしれません。

ハンマーやトリガーバー、できればシャーシ左右くらいを新品パーツに交換した方が、修理の方法論としては健全だと思います。

ハンマーが660円、トリガーバーが660円、メインシャーシ左右で1210円×2のパーツ代だけで合計2530円(現在の消費税率に換算したらおそらくこの値段になると思います)。

作業は自分でやるにしても、微妙な値段です。(ショップに頼むと、工賃込みで相当持っていかれそうです。)

このパーツ代金が高いか安いかはそれぞれなので、なんとも言えません。



余談ですが、この「ダブルアクションで撃てない」ことは、たぶんサバゲ―などの射撃の時には、特に問題にはならないと思います。

なぜなら、初弾装填時にスライドを引くし、その後もスライドのブローバックで必ずハンマーが起きて、初弾も2発目以降も必ずシングルアクションになるからです。

このモデルは、本来M92Fに備わっているデコッキング機能が無く、射撃の合間にハンマーを戻すこともできません。

つまり通常の射撃時にはダブルアクションで撃つ機会は、「ほぼ無い」んじゃないでしょうか。

でも本来の機能が動作しないというのは気持ちが悪いので、今回は解明&修理という運びになった次第でした。

長くなったので、スライドストップがかからない件については、別記事で、ということで。

毎度の長駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

  








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2021年07月18日 Posted by ジャージお父さん  at 20:54 │Comments(2)ハンドガンベレッタM92F(固定ホップ)

この記事へのコメント
私もリサイクルショップで買ったM92Fが同様の症状でしたが、削るのが怖かったのでハンマーの接触部分にセロハンテープを3枚程重ね張りして応急的に直して使っています
Posted by HYUGA at 2023年03月12日 09:38
>HYUGA様

コメントいただいておりながら、気付かずに返信が遅れましたこと、お詫び申し上げます。
ガスブロエアガンって、繊細な仕組みをしていますよね。
各チューナーさんの創意工夫で様々なアプローチがあることに日々気付かされます。
結果として、外見を損なわずにデフォルトかそれ以上に作動してくれたら、よしっ!ってなります
Posted by ジャージお父さんジャージお父さん at 2023年09月25日 23:07
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